社会福祉士が提供するプライベートケアは、自費で利用する介護サービスです。公的保険の枠内で利用する介護サービスよりも自由度が高く、選択の範囲が広いため、介護が必要な当事者やその御家族に多く利用されています。この記事では、社会福祉士によるプライベートケアのサービス内容や費用相場を解説します。
社会福祉士ならではのプライベートケア
社会福祉士によるプライベートケアは、障害や介護の必要がある高齢者だけでなく、子どもや低所得や生活環境に問題がある人まで幅広い層の介護や支援を行うのが特徴です。
社会福祉士という資格の特性上、あらゆう介護、生活の支援をするだけでなく、生活を改善するための相談を受け、助言、指導を行うことができます。
社会福祉士への相談例として以下のようなことがあります。
●「退院です」と言われたけど介護なしで生活できるかな…
●病気で仕事ができない…医療費や生活費の支払いをどうしよう…
●後遺症が残ってしまった…この先どうしよう…
●医師や看護師に聞きたい病状や治療のことがあるけど、どのように聞いたらいいのかな…
介護に関することだけでなく、福祉に関するあらゆる相談事を受けるのが社会福祉士であり、その改善に取り組んでいます。
国家資格を取得している社会福祉士ならではのプライベートケアになります。
そもそもプライベートケアとは?
プライベートケアは、介護保険外のサービスのことを言います。
プライベートケアの特徴をメリット・デメリットに分けて紹介します。
プライベートケアには、圧倒的なメリットがたくさんあることが分かります。特に誰でも必要な介護が受けられる点は多くの人の助けになるでしょう。
反対にデメリットは、費用の高さになります。
やはり、介護保険という公的な支援がないため、被介護者やその家族にとっては金銭的な負担が大きくなってしまします。
プライベートケアでは以下のようなサービスを依頼することができます。
具体的なシチュエーションは以下のようになります。
●散歩や趣味で外出したいけど一人では不安
●金銭の管理や契約書の記入などを手伝ってほしい
●洗濯、調理、買い物、布団干し、掃除などを代わりにやってほしい
●正月・節句などのために特別な手間をかけて行う調理を手伝ってほしい
●大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスかけ、家屋の修理、家具の移動や修繕などを手伝ってほしい
●草むしりや花木の水やり、犬の散歩などペットの世話を代わりにお願いしたい
●車の洗車や清掃をやってほしい
●来客にお茶を出す、食事の手配をしてほしい
介護保険などの制限や限界を気にせず、自らに本当に必要な介護や支援を受けることができます。
以下のような内容はプライベートケアでも依頼できない場合があります。
●医療行為や理容行為など介護関係以外の資格を必要とする内容
●専門的な知識を必要とする内容
依頼をする前に社会福祉士に相談するようにしましょう。
プライベートケアについてより理解できるように介護保険について解説します。
介護保険とは、要介護、要支援状態にあると認定された65歳以上の高齢者や医療保険加入者で特定疾患の45歳から64歳までの人が受けられるサービスのことです。
介護保険では、収入によって1~3割の自己負担で介護を受けることができます。
介護保険でのサービスは、被介護者にとって、利用時間的制限やサービス内容、利用時間帯の制限を感じさせる場合があります。
介護保険内のサービスは主に以下のようなものがあります。
社会福祉士と連携したプライベートケアのメリット
社会福祉士と連携したプライベートケアのメリットは以下の3つになります。
●幅広い層が支援を受けられる
●生活を改善するための相談ができる
●状況を改善するための助言や指導や受けられる
社会福祉士と連携をすることで、介護や支援が必要な高齢者だけでなく、子どもや生活に問題があるさまざまな人が、サービスを受けることができます。
身の周りのあらゆるサポートを受けるだけでなく、生活の問題を相談し、状況を改善するための助言や指導を受けることができます。
相談内容の具体例は以下のとおりです。
プライベートケアを利用できる人
プライベートケアは子どもからお年寄りまで誰でも利用できます。プライベートケアを一言で表すと「誰でも必要な介護を受けられるサービス」です。
介護保険で介護を受けられる人の基準を知るとよりプライベートケアの柔軟性、メリットが理解できるでしょう。
介護保険で介護を受けられる人の基準は以下のとおりです。
特定疾病とは以下の16個になります。
1. がん(末期)
2. 関節リウマチ
3. 筋萎縮性側索硬化症
4. 後縦靱帯骨化症
5. 骨折を伴う骨粗鬆症
6. 初老期における認知症
7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
8. 脊髄小脳変性症
9. 脊柱管狭窄症
10. 早老症
11. 多系統萎縮症
12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
13. 脳血管疾患
14. 閉塞性動脈硬化症
15. 慢性閉塞性肺疾患
16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
厳密な基準が定められており、介護を受けられる人に制限があることが分かります。
前述したとおり、プライベートケアは、子どもや要介護の認定を受けていない比較的元気なお年寄りまで、自分に介護が必要だと思えば誰でも依頼し、利用することが可能です。
プライベートケアの費用相場
依頼先や地域によって若干異なりますが、費用相場は以下のとおりです。
●週1回以上の定期利用であれば1時間で2,000~4,000円程度
●月1回の利用であれば、1時間で5,000~6,000円程度が目安になります。
プラスで交通費や指名手数料、延長代金がかかる可能性があります。
プライベートケアを依頼する場合、費用が高くなる可能性があります。
プライベートケアは、あらゆる介護・生活支援を依頼することができますが、介護保険外のサービスは全て自己負担になります。
介護保険の自己負担が1~3割ですむことを考えると、プライベートケアの費用は被介護者やその家族にとって負担になることが多いでしょう。
そのため、プライベートケアを無駄なく、効率的に利用するためにも、事前に電話やメールで相談をし、サービス内容を検討することが重要になります。
介護福祉士によるプライベートケアとの違い
介護福祉士と社会福祉士には、支援対象者や仕事内容の違いがあり、プライベートケアにも反映されます。
介護福祉士と社会福祉士の違いは以下のとおりです。
どちらも共通する点として、国家資格の取得者が介護、支援をすることです。介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士が福祉業界の三大国家資格とされています。
資格取得者による介護、支援のため安心感があります。
大きな違いは、支援対象者と仕事内容にみられます。
介護福祉士は、支援対象が要介護、要支援が必要な高齢者であって、仕事内容もそれら高齢者の身体介護、生活援助になります。よって、介護福祉士のプライベートケアは高齢者にぴったりでしょう。
一方、社会福祉士は、高齢者も含め、子どもや低所得者、生活環境に問題がある人など幅広い層を支援対象にしています。仕事内容も身体介護や生活支援だけでなく、被支援者、被介護者からの相談を受け、状況を改善するための助言や指導を行っています。
社会全体の福祉を向上させるのが社会福祉士であり、社会福祉士によるプライベートケアはあらゆる層の生活状況を改善させます。
看護職によるプライベートケアとの違い
看護職と社会福祉士は、担っている目的や役割が異なり、それがプライベートケアに反映されます。
看護職と社会福祉士の違いは以下のとおりです。
どちらも国家資格が必要な仕事になります。大きな違いは、社会福祉士の資格では医療行為が許されていないことです。
一方、看護師は資格を取得する段階で介護の知識を学ぶため、利用者の介護ができます。
医療行為が必要な被介護者であれば、看護職のプライベートケアはより安心できるものになるでしょう。
プライベートケアの利用方法
プライベートケアの利用方法は以下の流れになります。
プライベートケアを専門にしている企業、団体によって若干異なる部分はありますが、プライベートケアを利用する方法はそこまで複雑ではありません。
必要があれば積極的に利用してみてもいいでしょう。
1. 問い合わせ・相談
メールや電話で問い合わせ、相談をします。緊急の場合は電話で問い合わせするのがおすすめです。
2. サービスの提案や利用登録、見積
依頼先によって、利用方法が異なる可能性があるので注意が必要です。
サービス利用に会員登録が必要な場合があるところやサービス内容を提案してもらい見積もりをしてもらう場合などさまざまなパターンがあります。
3. 依頼の確定
サービス内容や担当するプライベート介護士が確定したら、メールや電話で連絡がきます。
依頼先によっては、社会福祉士を指名できる場合もあります。
4. サービス利用
実際にサービスを受けます。サービスを終了後に満足度などを聞かれる場合もあります。
プライベートケアを利用する上で重要なことは、気軽に相談をすることです。プライベートケアは自由度が高い分、費用が高くなることがあります。
社会福祉士としっかりと相談をして、必要なプライベートケアを無駄なく選択するようにしましょう。
プライベートケア利用にあたっての注意点
プライベートケア利用の際には、費用負担が大きくなることに注意しましょう。
介護保険が適用されるサービスは自己負担が1~3割ほどで済みますが、プライベートケアの場合は公的な金銭的支援を受けることができないので、全額自己負担になります。
そのため、プライベートケアが本当に必要か相談し、検討することが重要になります。
社会福祉士によるプライベートケアの重要な点は以下の3つになります。
●資格の特性がサービスに反映される
●誰でも必要な支援を受けられる
●費用面に注意が必要
プライベートケアには資格の特性が反映されます。社会福祉士の場合は、介護福祉士に比べて、支援対象者が幅広く、仕事内容も介護、支援だけでなく、生活改善に向けた相談、助言、指導を行います。
看護職とは違い、医療行為を行うことはできません。
プライベートケアでは、介護保険外のサービスを受けることができるので、時間や内容の制限がありません。社会福祉士による幅の広い層への介護や生活改善ができるので、誰でも必要な支援を受けることができるでしょう。
一方、介護保険が適用されないことで、全額自己負担になります。そのため、プライベートケアを依頼する前に、本当に必要な介護、支援はなんなのかなどしっかり相談することが重要です。
プライベートケアを専門にしている企業や団体では、メールや電話での相談窓口を設けているところが多いので、気軽に相談してみましょう。